交通事故の示談交渉について

示談とはなにか?

示談とは、損害賠償の問題、つまりお金の問題を解決することです。示談が成立すると、加害者が加害者に被害相当のお金を支払って誠意を示したと見なされ、情状が酌量されて、加害者に対する刑事罰が軽くなります。

 

被害者は示談をすると、後遺症の場合を除き、それ以上のお金の請求はできません。

 

加害者は示談時に決めたお金を支払わなければなりません。

 

加害者が支払わなかった場合、示談書を証拠に裁判を起こし、判決をもらい、この判決書で強制執行をすることになります。裁判などの面倒な手間を省くために、公証人役場で、示談書を公正証書にしておくという方法があります。公正証書には加害者の財産を競売にかけるなど執行力があるからです。


 示談はいつ始めるか?

「物損事故」の場合は、修理が終わったとき、または修理の見積もりが出た段階で行うのがいいでしょう。

 

「人身事故」の場合は、医師から「完治」あるいは「症状の固定」などの診断が出てからにします。

 

「死亡事故」の場合は、葬儀、四十九日が終わってから行います。

示談交渉に入る前にしなければならないことは?

 

@法律的に正当な損害賠償額をしっかり算出することです。
法律的にとは、裁判所で通用する金額ということです。保険会社の提示してくる金額は、この金額よりかなり低いものです。保険会社のコンセプトは「払わない」ことです。
法律上正当と思われる金額をしっかり頭に入れておかないまま交渉に臨むのは無謀です。

 

A要求金額は正当と思う金額より多少上乗せして提示しましょう。
示談交渉は、1回や2回の交渉で簡単に解決できません。
例えば、被害者側は160万円で示談の成立を考えている場合です。第1回の交渉で、加害者側が100万円と提示してきたときに、被害者側は少し上乗せして200万円を要求します。当然話し合いはまとまりません。第2回の交渉で、加害者側は130万円を提示してきます。被害者側は180万円でなければ応じられないと言います。第3回の交渉では散々もめた挙げ句、間を取って160万円で示談が成立しました。
えげつない、がめつい、ぼったくりだということではなく、こういうことを繰り返してお互いに譲歩して妥協点を見つけ、さらに加害者側を納得させるということでもあるのです。

 

B被害者側の過失(落ち度)はなかったか調べます。
賠償問題で対立するのは第一に賠償額、第二に過失相殺です。事故が発生したことについて、被害者にも原因があった場合、双方が損害を負担するという考えから行われます。
例えば飛び出しによる事故で、被害者に20%の過失があれば、賠償金は20%減額されます。賠償額が大きければ大きいほど、その金額は大きくなるわけです。

示談が始まったら

@示談が始まるとあれもこれもと回を重ねるたびに請求金額を上げていく人がいます。
始まる前にしっかり算出し、上乗せした金額を提示し、交渉の過程で下げていき、落としどころで落とすのがポイントです。

 

A保険会社の担当者はプロです。
年間多くの案件を解決してきている、いわゆる交通事故のプロです。
保険会社が独自に決めている、任意保険の支払基準の中で話をつけたいと考えてやってきます。これは裁判所基準よりも低い金額なのです。
保険会社の担当者と交渉するメリットは、加害当事者ではないので、比較的冷静に話し合えることと示談で決められた保険金が必ず支払われることです。

示談交渉前にそろえておくべきもの

交渉には、相手を説得する資料が必要です。

 

(死亡事故)
 事故証明書・死亡した人の除籍謄本・遺族の戸籍謄本・死亡した人の、生前の収入証明書

 

(傷害事故)
 事故証明書・診断書と診療報酬明細書・ケガした人の勤務先から発行された休業証明書・収入証明書以上の書類が必要なのですが、特に収入証明書は被害者側しか準備できず、これがなければ、収入がなかったものと見なされます。

 

給与証明書や源泉徴収票でいいのですが、なければ納税証明書や確定申告の写しなどが必要になります。逸失利益など賠償金額を決める際に大きな役割を持ちますので、面倒でも準備しましょう。

示談に代理人を立てるか?

冷静に話ができない、口下手で話ができない、何もわからず、判断に自信がないなどの場合、代理人を立てることもできます。ただ、悪徳示談屋にだまされたり、いい加減な人に代理人を頼んでしまっては何のための示談かわかりません。

 

代理人の人物と能力を見極めることが必要です。

 

費用はかかりますが、弁護士に頼むという方法もあります。示談の前に専門家の意見を聞いておく賠償金額の算定や過失の割合など、自分で調べてもいいのですが、難しいものです。
県の交通事故相談所、法テラス、日弁連交通事故相談センター(弁護士が交代で相談に乗ってくれます。要予約のところが多いです。)など、複数箇所へ行って話を聞くとおおよその相場がわかります。

ここに注意しておきましょう!!

事故後、早々にやってきて、「これで勘弁してください。これだけしかないのです。これ以上は払えません。」と言って、300万円の現金を置き、印鑑を押させたケースや「3000万円支払いますから。」と言われて印を押したというケースがあります。

 

3000万円は自賠責保険(強制保険)から支払われるもので、加害者は一切自分の懐からは支払いをしませんということなのです。

 

「保険会社の人が親切だったから。」「加害者がとてもいい人だったから。」「なんだか話が難しくてよくわからないけれど、良さそうだったから。」「話し合いを続けているうちに腹が立ってきて、もうこれ以上話し合いたくないと思ったから。」など、私もいろいろな方のお話を聞いたことがあります。

 

決して相手にだまされず、感情的にならず、わからないことはきちんと説明を求め、あやふやにしないことです。

 

自分で判断できなければ、保留にし、持ち帰ってしかるべき人に相談することです。何がなんだかわからないうちに印鑑を押してしまったということは避けなければいけません。一度押印すると示談が成立してしまい、その後不服申し立てをしても、それは認められないからです。